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高断熱・高気密が健康住宅だという誤解

高気密・高断熱の数値レベルの高さが住宅の快適性だなんて、とんでもない大間違いです。
小井土: 日本の家づくりは、時代と共に変わってきましたが、吉田先生は現代の家について、どのようにお考えですか?
吉 田: 現代の人たちは、少し神経質になりすぎている気がします。食品にしても、開封が大変なくらい包装が過剰でしょ。住宅も同じように無菌にしたいのか、外気が入らない密閉容器のような家ばかりになっています。
小井土: 生活空間として問題がありますよね。
吉 田: 私は、この密閉状態が現代の住宅の一番の問題だと思っています。特に最近は性能表示が重視され、気密性、断熱性のレベルを数値化して表示しているでしょ。すると、レベルの高い方がいいと、誰だって考えるわけですよ。これは、もう家じゃない。自殺用密閉容器ですよ。密閉されていれば清潔だなんて、とんでもない。密閉されているということは、環境が汚染されているということなんです。密閉容器の中で空気を汚染している張本人は、人間です。だから、オール電化にしたからといって空気が汚れないわけではない。
こういう家に住んでいると、人間の健康管理にも問題が出てきます。あれもこれもしてはだめという自殺用密閉容器の中では、環境に対する抵抗力がなくなってしまいます。花粉症もその表れですよ。花粉症なんて昔はなかったんですから。私なんて、子どもの頃は花粉の飛ぶ時期が楽しみでしょうがなかった。杉の木を蹴ると黄色い花粉が降ってくるから、それがおもしろくて、みんなで飛ばして遊んでました。でも、私は花粉症になりませんでした。つまり、杉に毒性があるわけじゃないということ。人間のアレルギーの問題です。神経質な環境で生きているから、耐性がなくなったんです。最近名前の分からない、いろいろな病気が出てくるでしょ。あれも原因は同じです。
小井土: 清潔感を過剰にとらえすぎですよね。抵抗力や免疫力がないから、常在菌にも、すぐやられてしまう。
吉 田: そのうち、家から一歩出たらバタバタ倒れる人間が出てくる社会になるんじゃないですか。人類滅亡の前兆かもしれませんよ。じゃあ、こういった状況をどうすればいいのか。そこが、家づくりの最大の問題です。
でもね、そんな難しい話じゃない。窓を開けて暮らせばいい、ただそれだけです。窓を開けて暮らせば、外気の気持ち良さがわかるでしょ。窓さえ開けてれば、高気密・高断熱なんて意味ない、一辺に雲消霧散です。高気密・高断熱の家を建てて、窓を開けてたら、無駄なお金を使ったことになるけど、使いたければ使えばいいんです。建設界はそれで潤っている部分があるし、そういう皮肉もあってもいいでしょう。こんな言い方しては何ですけど、それを脅し文句のように使って利益を上げている人がたくさんいると、私は思いますよ。高気密、高断熱、オール電化などと言っている人がたくさんいますが、本気なのかと言いたい。はめ殺しの窓をつける建築家も多いけど、本気でやっているんでしょうか。


「うちは気密性がない」と威張っていればいい。
小井土: 我々の会社では、エアパス工法を使って家の中に風を通しています。
吉 田: 私から言わせれば、あれは高気密住宅とは言えません(笑)。通気してますから。でも、それでいいんです。「うちは気密性がない」と威張っていればいい。まあ、実際には気密性がないというのは言い過ぎで、中気密くらいのもんです。その言い方もどうかと言うのなら、「気密性は必要ない」と堂々と言えばいいんです。
小井土: 行政が、高気密・高断熱住宅を奨励しているので、お客様に説明するのが難しいんですよね。気密性の高い家づくりをして数値レベルを上げないと、金融機関が融資の対象にしてくれないんです。実際問題として、それに逆らっては仕事にならないわけです。
吉 田: その辺は問題ありますね。一体ああいう規制を誰がやっているのでしょう。行政は「指導しているだけで、強制はしていない」と言いますが、行政が指導したら強制になってしまうことは、わかりきったことです。行政としては責任を逃れたいから「皆さんが求めるからやっている」なんて言い方をしますけどね。
小井土: 吉田先生のように、生活や環境までトータルで物事を考えて「家とはこうあるべき」というポリシーをもっている建築家は、本当に少ないですね。性能や数値で判断して、高気密住宅が一番よいと有名な先生が断言すると、行政もそういう先生の言うことを鵜呑みにして、すべて高気密・高断熱の家でなければだめだと言ってしまう。外断熱なんかも同じで、なぜ外断熱がいいのかという理由を、まともに答えられる工務店の人なんて、ほとんどいません。もっと、家は製品ではなく、家族が暮らす場所だということを、きちんと理解してほしいですね。
吉 田: 断熱は、適当にやればいい。私には、そのくらいの考えしかありません。お好きにおやりなさない、と。


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