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地域の風土、気心をわかることが地域主義工務店の良さ

家づくりで、一番大切なことは日照よりも通風かもしれません。
吉 田: 昔の家とは違うのですから、現代技術で建設すればそれ相当の断熱も気密もできるし、すきま風がはいることはありません。
なにより重要なことは通風、風を通すことです。家にとっては、日照より通風性のほうが大切かもしれないですね。現代は、優れた暖房器具があるので、どんな家でも冬の暖はとれますが、問題は夏の暑さです。暖房は身体を悪くすることはないけど、冷房は健康に影響を与えます。実際、私は、東京の自宅でここ2年ほどクーラーを使っていません。夏場、休みの日には自宅で、クーラー無しで生活しています。縁側に扇風機を1台置いて、下から風をいれるんです。台所の窓を開けて換気扇を回して風の出口をつくり、そこにもう1台扇風機を置きます。そうして、身体に直接風が当たらないようにしながら、扇風機を回す。この方法で案外暑い夏も過ごせるんですね。しかも、結構楽しい。夕方ちょっと涼しくなると、「これはいいぞ」という感じになる。暑さに耐えると、気温がちょっと下がっただけで気持ちがよくなるんですよ。昔の人が、行水して夕涼みしていた、あの感覚です。あの感覚を取り戻せば、クーラーより健康的で気持ちいい暮らしができるんです。
小井土: 現代の生活は、自然から遠ざかる一方です。本来なら、もっと自然に近づいて、自然の仕組みをうまく活用するべきですが。
吉 田: 東京は都市化していて自然がないと嘆く人がいますが、そんなことはありません。結構自然はあるんです。
小井土: 先生は、ただ単に建築家ということではなくて、人間の生理機能まで総合的に考えて住宅はかくあるべきという考え方をお持ちで、そこに我々は共感しているわけです。
吉 田: 私が「広がり空間」と言い出したのは何十年も前のことですが、これは通風のために絶対必要なことなのです。「広がり空間」がなければ通風はありませんから。


地域に根付いた工務店にしか建てられない家があるのです。
小井土: 風が抜ける家を設計するには、その土地の地形や風土もちゃんと理解する必要がありますね。
吉 田: そのとおり。家を考えるときは、まず地域の問題を考えなくてはいけません。たとえば、日本海側では夏に北風が吹きます。海ですからね。この土地に住む人たちは、みんな北風がいいと言います。関東の人は、南風がいいと思っているでしょうが、土地が変わると常識も変わってくるんです。周辺の地形によっても、風の吹き方は違ってきます。微妙な地形の高低で風は変わりますから。谷筋などは平地とは異なる設計をしなくてはいけない、その土地を知らなくては家を建てられないのです。そこに、地域主義工務店の意義があるわけです。
それと、言葉を費やさなくても住んでいる人たちの気心が理解できることも、地域主義工務店の良さです。上州なら上州というように、地域ごとに気心はずいぶん違います。住む人の気心がわかることは、家づくりでは相当重要なことです。
小井土: 我々は元々、大手メーカーの下請けで仕事をしてきましたから、メーカーの発想に地域性がないことを実感していました。あれはいわば、自動車のような工業製品的発想の家です。地域の特性なんて関係ない。だから、どれだけ家を建ててもおもしろくないし、お客様のために仕事をしていると感じられない。それがいやで今の会社をつくったんです。


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