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現代的な密閉された家づくりが、地域コミュニティ消失の原因となる

窓を開け放ち、門をつくるのをやめなさい。そこから地域のコミュニティがはじまります。
小井土: 最近、気になっているのは、地方の良さであったはずのコミュニティがなくなりつつあることです。その理由は、さきほど先生がおっしゃったような密閉容器型の家が増えたことにあると思っています。密閉されているから地域のコミュニティができず、隣人の顔もわからない、それがトラブルの原因になっているんじゃないでしょうか。地域の交流があり、助け合いながら生活していれば、子どもが騒ぐのは当然という感覚をもてるはずで、そんなことはトラブルの原因にはならないでしょう。
吉 田: 密閉容器で生活していると、人との付き合いがなくなります。すると子どもは孤独になり、家の中でパソコンをやっていればいいとか、勉強しているつもりだとか、だんだん地域性がなくなってきます。そこに問題が起きるのです。 国土の狭い日本では、窓を開ければ隣の家が見えてしまいます。でも、それがいいんですよ。朝、窓を開ければ、必然的にあいさつが生まれ、そこから地域との関係がはじまるんです。だから、私は門もつくらなくていいと言っています。よほど大きい土地なら別ですが、門はつくらず、そのまままっすぐ玄関にしたほうがいい。ポーチ以外のところに入られては困るので、そこに仕切りは必要ですが、玄関のところは何もいらない。そうすれば、門をつくらない分、コストも下がります。ポストは玄関扉の横に設置すればいい。雨の日は濡れないし、新聞屋さんは新聞をビニル袋に入れる必要がなくなり無駄が省けます。門のない家では、こんな話があります。朝、奥さんが出てきて玄関の前を掃除しますよね。門があると自分の敷地内で掃除をやめますが、門がないと敷地を出て周囲の道路まで掃除するようになります。それを近所の奥さんが見て、その人も掃除を始める。そこで朝のあいさつが生まれるわけです。「今日はスーパーで売り出しがあるので、ご一緒しませんか」というような話がはじまったりします。それがコミュニティのはじまりです。このような関係性ができると、子どもを預けたりもできるし、いろいろな関係が生まれてきます。
小井土: 門を取って窓を開けるだけで、社会に変化が出てくるわけですね。
吉 田: 東京でもそうですから、地方に行けばもっとその傾向がはっきり出てくるはずです。門がないと子どもがいたずらするとか、そんなことはありません。門がないと泥棒が入ると不安に思うかもしれませんが、むしろ家を囲っている方が泥棒は入りやすいんです。門のおかげで外から見えないから、泥棒にとって好都合なんです。


お隣に黙って、自分のことだけ考えて家を建てるからトラブルが起きるんです。
小井土: 家づくりは、生活そのものを設計する方法論ですね。家そのものだけを考えてつくったらうまくいきません。吉田先生は、それを我々に一生懸命教えてくれました。
吉 田: 隣家の建っている土地に家を建てる場合、まず最初に隣家の窓がどこにあるか、どう配置されているのか、調べなくてはいけません。お隣さんの窓の位置を考え、自分の家の窓は一間分ずらして設計するだけで、ずいぶん違います。お隣に黙って、自分の家のことだけ考えて家を建ててしまうから、窓が開けると丸見えになったり、日当たりの問題でけんかになったりするわけです。
小井土: 我々も隣家との関係をとても大事に考えています。工事期間も、1日の仕事が終わったら周辺道路や近隣まできちんと掃除することや、騒音などで隣近所に迷惑がかからないよう十分に注意して、近隣といい関係を保てる現場を心がけています。
吉 田: それは重要ですね。最近は職人の側も気にして、休みの日は作業をしないことも多いですが、それは当たり前です。むしろ、きちんと整理して帰るということ、これがとても重要です。 奈良に、すごい棟梁がいて、ここの棟梁は代々これを実践しているそうです。その棟梁は時間が来ると、自ら最初に掃除をはじめます。すると、棟梁がしているから、皆が真似して掃除をはじめるわけです。そういう実践的な教育を職人がやるべきなんですよね。教えられてやるのではダメ。自発的に掃除や整理をしようという思いが出てこないと伝わりません。教わってやっているうちはアカンです。
小井土: そういう教育を、職人に機会をとらえてやるようにしています。しかし、師事した親方によって職人の気質はずいぶん違うので、好き勝手する職人も中にはいますね。ただ、最近の職人は、仕事を確保するためにやるべきことがわかっているので、教育すればきちんとできるようになります。いくら腕がよくても、昔気質の職人では、これからはだめです。
吉 田: なかなか難しい問題で、最近の若者は、年寄りの言うことを聞きません。満員電車で平気で足を伸ばしているような、自分のことしか考えない人たちが増えていますね。大切なのは、思いやりなんですがね。


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