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子どもの未来にかかわる家づくりの大切さ

思いやりが生まれる空間で暮らせば、人間の一番いいところが出てきます。家の空間は、教育環境という意味でも非常に重要です。
小井土: 思いやりの原点が、吉田先生が提唱する「家族空間」ですよね。家族空間に自然と家族が集まる家をつくらないとそういう問題が起きてしまうのだと。まさに、今それが起きているんでしょうね。
吉 田: 思いやりが生まれる空間で暮らせば、人間の一番いいところが出てきます。家の空間は、教育環境という意味でも非常に重要です。
小井土: 現代の家は、誰にも気遣いせず生活できる空間になっています。ドア1枚で隔てて、自分の部屋に閉じこもり、自分勝手に過ごせる家になっているのです。エゴイスティックな子どもが育つのは当たり前ですよね。吉田先生は、以前からそのような状況を危惧して、幼い頃は子どもに個室を与えず、大学生になってはじめて個室を与えればよいという考え方をされていましたね。
家族の動線として、家族全員がリビングを通じてすべての部屋につながっている「広がり空間」にすれば、自然と家族が関わり合い、自分勝手なことを言わず、年長者に叱られたりしながら、日常の中でいろいろなことが身に付くのだと。私はこの先生の考えを知ったとき、本当に感動したんです。家づくりは、暑さ寒さをしのげて生活ができればいいのではない。個人のプライバシーが必要だと主張する人もいますけど、家族の中でプライバシーが本当に必要なのでしょうか?


子どもが小さいうちは家の中のプライバシーなんかいりません。
吉 田: プライバシーという言葉は、日本語で置き換えられませんよね。あまり日本人的な感覚ではないでしょう。プライバシーが住宅の中で必要なのは夫婦の寝室だけでしょう。
小井土: 私も実際に海外に行って、いろいろな家を見ましたけど、日本以外の国は、先生が提唱するような家をつくっているんですよね。プライバシーを保つ家なんてまずない。アメリカなんて、玄関を開けたら目の前に広いリビングルームがあって、それが家族空間でしょう。個人の部屋は、ぜんぶそのリビングにつながっています。
吉 田: 日本のように廊下がある家は外国には、ほとんどありません。寝室まわりに多少の廊下はありますがね。日本は、きちんと諸外国の間取りや家づくりを真似したわけではなく、断片的に真似したにすぎないのです。
小井土: 最初の段階では、政策的な意図があったかもしれませんが、仮にそうだとすれば、ものの見事にその策略にはまってしまいましたね。60年経って、嘆くべき国になってしまった。最近、親子間の事件などが起きていますが、ああいう子どもが育った家を検証してみる必要があるかもしれませんね。
吉 田: それを調べてみるのは、おもしろいかもしれません。私は、子どもが小さいうちは家の中でのプライバシーなんていらないと思っています。成長するにつれてプライバシーがほしくなってきますけど、それでも完全なプライバシーは与えなくていい。そうすると、子どもは自立をしたくなるのです。これは必要なことですね。最近は自立したくならない子どもが多くて困ります。
男女の違いもありますね。私は、男の子は自立して家を出るべきで、女の子はいつまでも家にいてもいいと思います。子どもたちが自分の家に長く住む場合、男の子ではなく女の子が相続して、連れ合いと一緒に住み続けた方がいいような気がします。現実はそうなりつつありますし、実際そういう家庭の方が平和ですよ。朝日新聞に連載している「ののちゃん」という漫画もそうですね。あの、できの悪いお母さんは、人の悪いおばあちゃんの娘でしょ。この漫画はなかなかいいとこついていますよ。あれが嫁と姑だったら、ああはいきません。漫画家は鋭い視点を持っているなぁ、と感心します。
小井土: たしかに最近は、娘が結婚して自分の両親と一緒に暮らす家が、増えていますね。
吉 田: 戦後で日本が良くなったのは、これくらいじゃないですか。戦前は、女性は結婚をしたら家を出るというのが常識でしたからね。


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