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地域に根ざした百人百通りの家づくり

引き戸を使うと構造が整理できるようになり、空間の合一化がはかれるのです。
小井土: 先生が設計されたお宅を拝見すると、どれひとつ同じ建物がないんですよね。以前、大垣の家を拝見しましたが、あれはびっくりしましたね。なにしろ、家の中に神社があるんですから。
吉 田: あれは、施主が神主さんだったからね。
小井土: 普通に考えたら、家の中に神社があるなんておかしいですけど、なぜか、神社が生活に溶け込んでいて、違和感がないんですよね。祭事をするときには、下から祭壇が出てくるつくりになっていて、祭壇を畳むと、生活空間が広がるんですよね。あれには、本当に驚きました。
吉 田: そのお宅は、ご主人が高齢で家の中でも車椅子の生活をしていらしたんですよ。ご依頼当時、ご主人が長生きできるかどうか弱気になっていましてね。でも、家を建ててから20年ほど経ちましたが、ご主人は現在も健在です。「長生きできているのは家のおかげだ、今頃ようやくわかってきました」と奥様がおっしゃって下さいました。本当にありがたい言葉です。
小井土: 家はこれでいい、というものはないですね。本当に百人百通りなんですね。


広がり空間の原点は、引き戸の利用法にあります。
小井土: 先生が設計された家は、引き戸がたくさん使われています。部屋を広くも狭くもできる変幻自在な引戸は、日本の優れた知恵ですね。
吉 田: 私が設計すると、ドアはほとんど使いません。外から施錠が必要な玄関と勝手口以外は、すべて引き戸です。うちの学校では、とにかく引戸を使うことをテーマにしています。ドアをつくればダメ出しします。引き戸を使うと構造が整理できるようになり、空間の合一化がはかれるのです。そこが理解できないと、うちの学校は卒業できません。ここに、広がり空間の原点があるのです。
小井土: 家づくりは、工法の問題云々ではないんですね。先生は先生なりの考え方で生活の仕方、窓の取り方、扇風機の話のように風の導き方などで、いくらでも快適に暮らすことは可能だと考えています。その考えを学ぶことは本当に勉強になります。本日お伺いした先生のお話をあらためて意識しながら、今後の我々の家づくりに生かしていきたいと思います。本日は本当にありがとうございました。


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